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◆ 作家のお話。 ◆
 
  ひろすけ童話。
    日本の初期の創作童話は巖谷小波(いわやさざなみ)の「日本お伽噺」という本が最初とされています。小波からしばらくの間、子供向けの創作は「お伽噺」と呼ばれ、「童話」と言う呼称は、浜田広介が自らの童話を「ひろすけ童話」と呼んだ事が始まりです。

  浜田広介は「日本のアンデルセン」と呼ばれる童話作家です。明治二十六(1893)年五月二十五日、山形県、東置賜(おいたま)郡屋代村大字一本柳館の内(現高屋町)に、農業、浜田為助の長男として生まれました。

  浜田家は代々寺子屋を営み、また母方の祖父は村医で、絵や彫刻に秀でていたそうです。

  広介は尋常小学校高等科三年十三歳の時、時事新報社発行「少年」に作文を投稿、優等に入選。また十四歳の時、巖谷小波主筆の雑誌、「少年世界」の懸賞文に投稿、しばしば入選していたそうです。大正三年米沢中学を卒業した広介は、早稲田早稲田大学高等予科へ、そして英文学科へ入学します。 広介は西洋のお伽噺を訳すアルバイトをし、その時アンデルセンの童話に出会ったそうです。

  大正五年広介は、大阪朝日新聞の新作お伽噺の懸賞募集に、「こがねのいなたば」というお伽噺を応募し、入選しました。選者は巖谷小波で、翌年の朝日新聞紙上に掲載されました。当時のお金で五十円、現在のお金で三十万相当だったそうです。
  広介は当時を振り返り、こう書き残しています。
  「賞金はわたしを助けてくれて、やがて、消えていきました。世の中のお金は、一度、わたくしのふところにはいりましたが、まもなく、そこからぬけだして、また世の中に帰っていきました。けれども、選者小波先生の当選作についてのお言葉、評言は、その時以来、作者にとって道しるべとして頭に長く残るものとなりました。」

  小波の評言の内容は、
  「これまでのお伽噺は、善玉悪玉の二つを出して、悪をこらし、善をすすめてきたのであるが、今度の作は、もっぱら善を語ろうとするかに見える。そうなら、これは積極的な意図というべく、この方向は今後におけるお伽噺の新しい歩みかたともなるであろう。」
  以後、広介はこの言葉を道しるべとし、自分の「童話」を確立して行くのです。

  本来ここで、「こがねのいなたば」を紹介すべきなんですが、現在流通している浜田広介の出版物に童話集がすくなくて、「こがねのいなたば」の内容がわからないかも知れませんので、あらすじを書きます。よろしけば、図書館等でご一読ください。


  ある所に一人暮らしのお百姓さんが、一頭の馬と暮らしていました。その馬は年老いていて、もう重い荷物も運べませんでした。それでもお百姓さんは馬にむち打つわけでもなく、坂道であえぐ馬にやさしく声をかけいたわるのでした。

  秋になって稲の取り入れの時期となり、お百姓さんは馬と一緒に取り入れた稲を運びました。馬は弱っていて、その取り入れの最中に倒れてしまいます。お百姓さんは稲の取り入れもやめて馬を看病します。

  馬は、お百姓さんに自分の看病はいいから、稲を取り入れてくれと頼みます。お百姓さんは馬の頼みを聞いて、稲を取り入れる事にします。

  しかし、その夜から急に冷え込み雪が降ってしまいます。田んぼに積んであった稲束にも雪が積もってしまいました。
      
  お百姓さんは稲束の取り入れをやめて馬の看病に行きますが、馬に稲束を取って来てくださいと言われ、田んぼに行き、そこで、黄金に変わった稲束を見つけます。

  馬はお百姓さんに自分の体のどこでもいいからムチを当ててくださいと、言います。

  お百姓さんは馬の言う通りムチを当てると、年老いた馬から一頭の若い馬が生まれます。

  そして、二回、三回とムチを当て、三頭の馬が生まれました。年老いた馬は三頭の馬に田んぼに残った稲束を取って来るよう言います。

  「もし自分が無理矢理追い立てられ、むち打たれていたら、あの馬は一頭も生まれなかったでしょう。」
  馬の言葉を聞きながら、お百姓さんは、年老いた馬をやさしくさするのでした。


  広介はよい事をすればよい事がありますよ、と言うような安易な報恩譚とせず、思いやりややさしさ、いたわりや慈しみに焦点を当て、作品を書き続けます。

  大正十年、二十八歳の時、広介は新生社から「椋鳥の夢」という童話集を発行します。それには「ひろすけ童話」と銘うってあるそうです。
   
   
   
   
浜田広介童話集
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