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六月-海と水辺の物語。
 
  河童の膏薬。
   おかっぱ・おかっぱ頭の語源は河童だそうです。
 しかし、不思議な事に、河童の語源は、おかっぱ頭から来ているようで、どちらが卵か?にわとりか?状態になっています。
 さて、この頭、いったいなんだったのでしょう?

  「河童の膏薬。」
 
 ある所に勢助という男がいました。

 盆の十六日だったか、盆棚を川へ流しに行きました。すると、淵に、たいそう立派な松が浮かんでいたのです。盆には過ぎていましたが、これは灯し松になる、取っておこうと思いました。そこで勢助は、手元に引き寄せようと、持っていた鎌でザクッと刺した所、松はゴロゴロッと動いて行ってしまいました。

 勢助はもう一度、鎌をかけようとした所、またゴロゴロと動きました。その松は鎌をかける度に動いて行き、いつの間にか勢助は淵の深みへと入っていたのでした。

 そして、勢助のまわりの水は次第に黒くぬめっていき、次第に体の自由が利かなくなっていったのです。

 これは、おかしい。
 河童か何かが、悪さをしようとしておるのじゃなかろうか?
  
 勢助は鎌で水をキュッキュッと切りました。すると、水の粘りがとれ、急に体が動くようになり、勢助は岸へ戻る事が出来たのです。

 勢助は慌てて家に帰ったのですが、ふんどしに、水かきのある子供のような手がくっついていたのです。

 これが河童の手か、危ないところじゃったと胸をなで下ろしたのでした。

 しばらくして、雨が降り始めました。そして夜半の事、戸をトントン、トントンと叩く音が聞こえてきました。勢助は、鎌を持つと、外に向かって「誰じゃ!」と怒鳴りました。

「俺は淵にすんでおる河童でさぁ。」
「・・・んの用だ?」
勢助は身構えました。
「今朝方、あんたに腕を切り落とされて困っております。どうか、返してくだせぇ。」

勢助は、しばらく考えたあと、戸を開きました。戸の向こうには、小さな子供のような河童が、切られた腕を押さえて、立っていました。

「おめぇに手を返してやるわけにはいかねぇ。なんで、俺に悪さした?」

河童はうなだれて答えました。
「人間には、紫肝という肝がある。俺はその肝をとろうと、松の木に化けて、お前様を深みに引き込んだのだけれど、鎌で腕をもがれてしもうた。これでは、俺はまともに生きていられねぇ。どうか腕を返してくれろ。」

勢助は、返すかどうか迷いました。
「返した所で、元には戻るまい。」「おら達には、"骨接ぎ筋渡し"というクスリがある。それを使えば元どおりにくっつくんでさぁ。」
「便利なものがあるのう。」
勢助は驚きました。
「だんなさん、腕を返していただければ、"骨接ぎ筋渡し"の製法をお教えしますよ。」
勢助は少し考えて答えました。
「わかった、もう一つ、これからこのあたりの人間に悪さするんじゃないぞ。」
河童はうなずくと、勢助に"骨接ぎ筋渡し"の薬の作り方を教えました。そして勢助の目の前で、切れた腕をくっつけて見せると、頭をぺこりと下げて、雨の中へと消えて行きました。

 それから勢助の家は、この"骨接ぎ筋渡し"で、たいそう裕福になったと言う事です。

       河童の膏薬。

 
 


 昔、子供は、頭をおかっぱ頭のようにしていたそうです。
 このおかっぱ頭の真ん中を、丸く毛をそっておき、そして、年が長じて、髪が伸びた後、ちょんまげをゆったそうです。 江戸時代は、どの男子も、頭の上は毛を剃ってあります。このそった部分は、子供の頃はお皿のような状態だったわけです。

 故柳田国男氏の故郷では、こどものおかっぱ頭を「おけし(芥子坊主のケシ)」といったそうです。そして、そった部分を「蛇の目」。唐傘の先の部分を「蛇の目」というのですが、同じ意味のようです。

 古い時代の子供の頃の頭はどうなっていたのか?それは金太郎の人形を見てください。

 見事に「河童」頭です。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/画像:KunimaruKintaroTengu.jpg

  ◆補記
  ◆灯し松。
 お盆や、墓前に、木の根などの火持ちのするものを、灯の台としました。