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十一月の行事ー神様と縁結びのお話。
 
  恵比寿講「夷講」「戎講」。
 

 神無月にすべての神が出雲へ行ってしまう中、出雲に里帰りをしないで留守番をする例外的な神様、「留守神」様も考えられました。
 例えば、農村の村境などに祭られている塞の神も、里帰りの費用もないほど貧乏で子だくさんだったから、などという理由がつけられ、出雲帰りをしない神と言われています。

 なかでも、一般庶民に台所の神、家の神として祭られる「恵比寿」は、留守神としてよく知られています。
 恵比寿は、「夷」や「戎」とも書き、異郷からやってきて、人々に幸福をもたらしてくれる来訪神(まれびと)としてあがめられ、もともと漁業の神として漁民に信仰されましたが、農村では田の神として信仰され、都市では商いの神、市神として、特に商人の信仰が厚かったのです。

 そこで、留守をあずかる恵比寿神を慰めるため、十月には「恵比寿講」を行って盛大に祭ります。

 恵比寿講の時期は地方によってさまぎまで、旧暦の十月二十日、十一月二十日、正月十日、正月二十日などに行いました。
 関東では十月二十日に行うことが多いため、「二十日恵比寿」と言い、関西では正月十日に行うところから「十日戎」と言います。

 商人の家で行う恵比寿謡は、恵比寿様の像を飾った座敷に商品を並べ、座敷にある道具類も含めて、招かれた人々が買い方と売り方に分かれて売ったり買ったりするまねをします。
 双方が「千両」「万両」などと縁起をかついだ高い値をつけ、「売りましょう」「買いましょう」と言って手打ち式を行って締め、そのあとでごちそうを食べて祝うのです。ここから、とてつもないもうけ話のことを、「恵比寿講のもうけ話」などと言ったりするそうです。

 また、恵比寿講の日は店頭にミカンや銭をまいて客寄せをしたり、呉服商人は残り布などを「恵比寿切れ」などと言って安く売る大売り出しも行われました。
 東京では恵比寿講に使う品物や大根の浅漬け(べったら漬)を売る市が十九日〜二十日に立ち、「べったら市」と呼ばれています。
 京都では十月二十日に「誓文払い」という行事が行われます。誓文とは神にかけて誓う言葉の意味で、起請文とも言いこれは、京都の商人たちが、日ごろ商売上の理由でやむを得ずついたうその罪をはらうため、京都四条寺町の冠者殿社に参拝するならわしです。
 冠者殿社には誓文返しの神が祭られており、関西の各地に誓文払いの行事が広まっていきました。
 京都や大阪では、十月の二十日に平素の商いのお返しに特別安値の大売り出しを行ったり、常連の客に特別サービスをする風習が残っています。

冠者殿社と誓文払い
http://www.kyoto-shijo.or.jp/kanjaden/index.html