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六月-海と水辺の物語。
 
田植え。
  田植え。
 

 苗代で育てた稲の苗を田に植えつける田植えは、稲作水稲栽培のうちで最も重要な作業です。

 昔は二十四節気の芒種(六月六日ごろ)の頃に行うものとされ、一株ずつ手で植えていくつらい重労働でしたが、今では、品種によっても地方によっても、その時期に多少の違いがみられ、機械化が進み、それほど大変な作業ではなくなりました。

 田植えは旧暦五月一か月の間に終えるものとされ、遅くとも半夏生(今の七月二日ごろ)までにすませおかなければならないとされていました。

 一軒の家の田植えは一日で終えてしまわなくてはならなかったので、地縁・血縁関係で結ばれた大勢の村人の共同作業で行う必要がありました。
 実際に田に入って田植えをするのは女性の仕事で、忌みごもりをして身を清めた早乙女たちが一列に並んで田に入り、苗代から取り分けた早苗を本田に植え替えていくのです。

 田植えは、実際の農作業であると同時に、田の神の祭りを行う大切な行事でもありました。
 早乙女のサも早苗のサも、稲の穂を表していると言われています。
 まず、田植えに先立って、田の神をお迎えするサオリの儀礼を行います。田植えの当日、数十人うちそろった田植え組が、早朝から晴れの装束を身に着け、田の神を拝みます。
 それから、笛、太鼓、鉦(かね)、簓(ささら)などの楽器の、にぎやかなお囃子にのって、田植え歌を唱和しながら一糸乱れず苗を植えていきます。
 昼になると田の神と一緒にごちそうを食べ(神人共食)、夕方までに一軒分の田を植え終えるのが普通でした。田植えをすべて終わると、田の神を送るサノポリ、サナブリ、シロミテと言われる行事を行います。

 神祭りとしての田植えの伝統を伝える神事で有名なものでは、
 大阪住吉大社の御田植神事、
 三重県伊雑宮(いぞうのみや)の御田植祭り、
 広島県の壬生の花田植えなどがあります。
 壬生の花田植えは「囃し田」とも呼ばれ、非常に華麗で高度に芸能化された行事です。



  笠と蓑。
 

 笠は昔のかぶりもののひとつで、傘と区別して「かぶリがさ」とも言います。
イグサ、スゲ、な円錐状に編み、ひもなどをつけたもので、雨や雪などを防ぐためにかぶるものですが、種類がとてもたくさんあります。

 蓑は、笠とともに農民や漁師が雨の日の労働の際に身にまとった雨具で、ワラやスゲなどを材料としました。地方によって、「けら」「ばんどり(スズメの方言)」とも言いました。
 笠と簑は、実用の道具としてばかりではなく、神のかぶりものだと信じられていました。特に田の神のかぶりものとされ、春と秋の亥の子祭りには、笠と蓑を田の神に見立てて祭る風習があります。