天福地福。

新年のお話です。
 初話です(笑)。
 めでたくいきます。

「天福地福。」

むかし、むかし、ある所に正直な爺さと強欲な爺さがいました。


年の暮れに、出会った二人はこんな話をしました。

「正月になったら、どんな夢を見たか、はなさねぇか?」そう正直な爺さが言うと、

「ああ、どんな夢見たか、比べっこしよう。」と強欲な爺さは答えました。


正月二日の朝の事です。正直な爺さは夢を見ました。

真っ赤な炎の前に座っていると大判小判がザラザラと降ってきて、お婆さんが「良かったですの、お爺さん。」と言うのです。

それが、爺さの初夢でした。


さっそく正直な爺さは夢の話を、強欲な爺さに話に行きました。

強欲な爺さはその話を聞くと不機嫌そうに言いました。

「俺の見た夢はな、お前と違って地から福を授かる夢じゃ。」

「そうか、どっちも良い夢じゃな、叶うとよいのぉ。」

正直な爺さはそう言うと、いつものように畑に出かけました。


畑に出ると、良い天気でした。 お日さまがキラキラ、黄金のように降りそそいでいました。

「お天道さま、お天道さま、今年もいっぺぇ、実らしてくらんしょ。」

正直な爺さはお日さまに手を合わせ、畑を耕しはじめました。


しばらくするとカチンとくわが石にぶつかったような音がしました。

何度も耕した畑で石などに当たるとは、不思議に思って、土をのけてみるとカメが埋まっていました。

フタを取ってみると、中には大判小判がぎっしり。

お日さまのようにキラキラ輝いていました。

「こりゃぁ、隣の爺さの言っとった地福に違いねぇ。」

正直な爺さは、隣の家に走って行った。

「爺さ、爺さ。 あんたの言っとった地福じゃ。 はよう行って取って来なせぇ。」

強欲な爺さは教えてもらった場所に、くわを持って飛んで行きました。

正直な爺さは、嬉しそうに見送ると、家に帰りました。

婆さは爺さの話を聞くと、「それは、よかったですのぉ、お爺さん。」と、言いました。

「おぉ、隣の爺さは今ごろ喜んでおるじゃろうのぉ。」と、二人で、囲炉裏にあたって、楽しそうに話しました。



隣の爺さは畑に行くと、どこにカメがあるのか探しました。

畑の真ん中に、掘り返した後があり、そこにはカメがありました。

「この中に、大判、小判があるのかぁ!」

強欲な爺さはカメの蓋を両手で掴むと、ぐっと持ち上げました。

すると、中にはヘビがいっぱい入っていて、うにょうにょ動いていました。

「ひぃぃ!」驚いた爺さは転んで、蓋を掴むとあわてて閉めました。


隣の爺さは、顔を真っ赤にして怒りました。

「あのくそったれジジイ! わしをだましたな! よくもこんなもの!」

爺さはカメに蓋をして背負って帰ると、隣の家にはしごを掛けて、隣の屋根の上にカメを持ってあがりました。

強欲な爺さが煙口から家の中をのぞくと、正直な爺さは、囲炉裏の前でポカポカと火にあたっていました。

「あのばかたれは、人をだましておいて、へらへらわろうておる。」

強欲な爺さは、もう我慢出来ず、カメの蓋をとると、ゆさゆさゆすり、カメの中のものを、正直な爺さにめがけて落としました。

しかし、カメの中からはこぼれたのは、ヘビではなく、キラキラ光るものでした。

それは大判小判で、爺さのそばに、婆さのそばに落ちていったのです。

「な、なんじゃぁ?」

強欲な爺さんは、驚きました。

カメの中をのぞくと、中はからっぽでした。 ぜんぶ、正直な爺さの頭に落としてしまったのです。

「・・・爺さ、これは大判小判です。」

「そうじゃのぉ、これは大判小判じゃのぉ。」

二人は目をパチクリさせました。

「隣の爺さは地福を授かったが、わしらは天福を授かったのぉ。」

「へぇへぇ、天福を授かりました。 よかったですのぉ、おじいさん。」

それからお爺さんとお婆さんは、たいそうな金持ちとなり、裕福にくらしました。


今日もキラキラ、お天道さまが輝いていました。


         「天福地福。」


いつの時代も、夢を楽しむ心が一番です。

そのうち、天から小判が降ってくるかもしれません。

 
 
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