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十月ー亥の子突きと動物のお話。


 十月ー亥の子突きと動物のお話。 おくんち。 亥の子祭り。 亥の子突き。 
十日夜(とおかんや)と案山子上げ。 お十夜。
 狼の眉毛。 聞耳頭巾。 雀、雀。
 ネズミの浄土へころころりん。 猫とネズミの草紙。
 山の神の靱(うつぼ)。 猿正宗。
 しっぺい太郎の猿神退治。 日本の猿神伝説。 中国の猿神伝説。

 
  山の神の靱(うつぼ)。
    「山の神の靱。」は琵琶法師が琵琶語りのお返しに山の神に歓待される、というお話です。
  山の中は山中他界といって、神々の住む所とも鬼などの住む所とも考えられています。 「瘤取り爺さん。」などは、鬼と出会って、宴会芸?のうまさから、こぶを取ってもらうのですが、それの神様版?でいいかも?
  靱(うつぼ)は矢を入れる筒状の容れ物で、靫・または空穂と描くのが正解。 靱は誤用だそうです(が、柳田先生がそう書いてるんだもの、そのままにしておきます)。
  「山の神の靱(うつぼ)。」
    昔、琵琶を背負った法師が一人、旅から旅へ琵琶を奏で歩いていました。
  ある山を越える途中、道に迷い、そのうち日が暮れてしまいました。 めしいた瞳に夜の闇など、なんの事もありませんでしたが、やはり夜の山は危険なものでした。
法師は大きな木の根元に腰を降ろすと、琵琶を取り出し虚空に頭を下げました。
「もうし山の神様、私は道にこの山に迷うてしまいました。 今晩一夜、この木の根元で泊まらせていただきます。 つきましては、お聞き苦しくもございましょうが、旅の座頭の琵琶の一曲をお聞きくださりませ。」
法師はそのまま琵琶を奏で、平家物語の一節を語りはじめました。 大きな木のてっぺんが、月夜に揺れました。
「さてさて、これは面白い。」
「ええ、おもしろうございます。」
「おもしろううございます。」
年老いた男の声と、はなやいだ女の声がどこからか聞こえて来ました。
「もうし、法師殿。 もう一曲、琵琶をひいてもらえませぬか?」
自分のまわりに暖い人の気配がいくつもありました。
「はい、喜んで。」
法師は琵琶を弾きました。 琵琶を弾き終わると娘達が、「お疲れでしたでしょう。」と膳を運んできました。
「おお、これはありがたい。」と、法師は、膳のとりどりのものをいただきました。
そしてそのまま、そこに寝てしまったのです。

  朝になりました。
  法師は、昨日の事は夢であったのか?と、首をかしげていると、「もうし、法師殿。 ご主人が里までおつれせよとの事。 わしがお連れいたします。」と声がありました。
「おお、ありがたい。」
法師が立ち上がると、声の主は太い毛皮の筒のようなものをさし出しました。
「この靱(うつぼ)につかまって、わしの後をついておいでなせぇ。」
法師は喜ぶと、みづくろいをして、その男の後についていきました。

  天気の良い山道でした。男は法師の足下を注意しながら、山を下っていきました。 ぽかぽかした陽気の道でした。 遠くから犬や鶏の声が聞こえて来ました。
「法師殿、そろそろ村につきます。」
男がそう言うと、遠くの方で声がありました。
「あれ見ろ、座頭が狼の尻尾をもって歩いてるぞ。」
男はこの声を聞くと、するりと靱を抜いて、法師を置いて山の方へ駆け帰っていきました。

  法師は何が起きたのかわからず戸惑っていると、 回りに人が集まってきました。
「狼なんぞに連れられて、座頭さん、何かに化かされでもしたのかい?」
村の人たちは口々に、おかしな事があるものだと、法師を庄屋さんの所へ連れて行きました。 法師は何が何だかわかりませんでしたが、庄屋さんに昨日の夜の出来事を話しました。
「ああ、そういう事じゃったのか。」
庄屋さんは手を打ちました。
「昨日の夜、うちの孫が、急に大声を出してわめき出したのじゃ。 わしはこの山の神じゃ。 今夜、めずらしいお客人があるから、ご馳走をこしらえて、山の上の大きな木まで運んでこい。 急がないと、この子供の命を取ってしまうぞ。とな。 そこで、急いで膳をつくって運ばせたのじゃが、山の神のお客人とは、法師殿の事じゃったのじゃな。」
法師は昨日の方々は山の神様たちじゃったのかと、びっくりしました。
「どうじゃろうの、法師殿。 山の神様も聞きほれた、あんたの琵琶、村の者にも一曲お願いできんかの?」
庄屋さんは法師に尋ねました。
「へぇ、喜んで。」
その夜、法師は庄屋さまの家で、村のものに琵琶を奏でて聞かせました。
 飲んで食べて、お祭りのような一夜でした。

         「山の神の靱。」
   
    琵琶法師といえば耳なし芳一ですが、このお話では、幽霊ではなく山の神様に歓待を受ける、というものになっています。 耳なし芳一の原型かな?とも思ったのですが、耳なし芳一・怪談牡丹灯籠・雨月物語・・・ん〜、どうも関係なさそうですね。 どれも翻案だし、怪談は関係ないと思います。 多分このお話は、神仏に音楽を奉納した事をあらわしてるんじゃないでしょうか?
  山の神(山の神の使い)=狼というお話だと思います。
  いかん、あまり面白くない終りになってしまった。 ごめんね〜。