アルゴ船座の伝説、後編。

  アルゴ船座の伝説、前編。

コルキスに到着したイアソンとアルゴノーツは、アイエーテス王に金羊毛を求め、王女メディアと出会い、コルキスでの冒険を始めます。

これは、以下のページに書いてあります。

  コップ座の神話。

メディアは弟を殺して、アイエーテス王の追跡をかわし、アルゴ号は帰途につきます。

ただ、アルゴ号の帰途については、さまざまな記述があって一致しないそうです。

来た航路を帰ったとするもの。

シュムプレーガデスを避けて、パーシス川を通り、オーケアノスの流れに出て、そこから地中海に入ったとするもの。

ダニューブ河から、北海に出て、南下して地中海に戻ったとするもの。

そして、アポローニオス・ロディオスの「アルゴナウティカ」やアポロドーロスの「ギリシャ神話」の中では、アルゴ船はダニューブ河を遡行し帰途についたそうです。

そして伝説上の河、エリダノス河を通っていた時、ゼウスがアプシュルトスの殺害に怒って、嵐を起こしました。

その時アルゴ号の船首が突然人語を発し、「キルケーに潔められなければ、ゼウスの怒りは止まぬ。」と警告しました。

アルゴ号は嵐の中、キルケーの元へ進路を向けたのです。

アルゴ船はエリダヌス河を遡行、ローヌ川をへて、ケルト人とリグリアの国を通り、地中海に出るとアイアイエー島に上陸キルケーの所にいき、潔めを受けました。

キルケーは、太陽神ヘリオスとオケアノスの娘ペルセースの間の娘です。

従って、コルキス王アイエーテスとミノス王の妃パーシパエーの姉妹となり、キルケーにとってメディアは姪にあたります。

そのためアルゴノーツの来訪を喜び、イアソンと姪メディアのよる「アプシュルトス」殺害の潔めを行い、送り出しました。

キルケーは魔法にすぐれた女神で、「オッデッセイア」中で、オデッセウスたちの来訪を受けました。

部下たちはキルケーの宮殿を訪れ、歓迎されて、魔法の酒を飲んでしまい、全員、豚になってしまいました。

ただ一人、エウリュロコスは用心して屋外にとどまり、この様子を見ると、オッデッセウスに報告しました。

オッデッセウスはヘルメス神より魔除けの霊草モーリュを得て、キルケーの宮殿に乗り込み、魔法の酒を飲まされても豚にならず、反対に彼女にせまって部下をもとの姿に戻らせました。

オッデッセウスはこの島に一年くらし、キルケーの間にテーレゴウス、またはラティーノスとアグリオスの二人、またこの二人に加えてカッシポネーという娘が生まれたとも伝えられています。

アイアイエー島から、アルゴノーツはヘーラーの命を受けた海の女神テティスに案内されて、セイレーンたちのいる、カリュブディス島付近のメッシーナ海峡を通りました。

セイレーンは上半身は女で、下半身は鳥の形の怪物で、人を魅了する歌を歌い、セイレーンの島に引き込みました。

彼女たちは、二人、三人、あるいは四人で、ムーサのメルボメネー、テルプシコラー、あるいはステロペーと、アケローオス神の子と言われています。

セイレーンたちの歌が聞こえた時、アルゴ船に乗っていた、オルペウスが琴をかき鳴らして対抗し、無事通過しましたが、プーテースのみが海中に飛び込み、セイレーンに連れ去られそうになりましたが、アフロディーテが彼を奪い、リュバイオンに住まわせました。

アルゴ船は無事通過しましたが、オデッセウスがこの海峡を通過する事になりました。

オデッセウスはキルケーの忠告により、部下の耳に栓をし、部下に自分の体を帆柱にくくりつけさせました。

オデッセウスはセイレーンたちの歌を聴いて島に行こうとしましたが、身が動かせなかったため、無事通過しました。

セイレーンたちは、自分たちの歌を聞いた人間が無事なのを怒って海中に身を投じたとされています。

セイレーンたちはもともとペルセポネーに従っていた乙女で、ペルセポネーがハデスにさらわれた時、彼女を捜すため神々に翼を乞うたため、またはペルセポネーがさらわれるのを阻止出来なかったためデメテルが罰したためとか、彼女たちが愛の歓びを軽視したためアフロディテーが罰したとか、ムーサと音楽を競ったため、この姿になったと、色々な憶測がなされています。

セイレーンたちは風をおさめる力と、死者を冥府に送る役目があるため、墓石の上に描かれてあるそうです。

古典時代以後、次第に美化され、ムーサと同じく音楽の代表者となり、冥界の女神となって「幸福の島」の音楽家となっているそうです。

ちなみにセイレーンはフランス語では「シレーヌ」、デビルマンのシレーヌがセイレーンという事になります。ハルピュイアという事ではないんですね。


次に、アルゴ船はカリュブディスとスキュラの間を通過しました。

カリュブディスとスキュラは怪物で、この二人の怪物の間を通って、船を進めなければならなかったのです。

まず、カリュブディスから。

カリュブディスは海の渦巻きを擬人化した女性で、ポセイドンとガイアの娘とされています。

非常に大食で、ヘラクレスがゲーリュオーンの牛群れを追ってここまで来た時、牛を盗んで喰らったとされ、その時ゼウスの雷を受け、海に落ちて怪物になった、とされています。

アルゴ船は通過した、という事になっていますが、オデッセウスはここでカリュブディスと対峙しています。

カリュブディスは一日に三度、そこを通った船その他あらゆるものを、飲み込んで吐き出しました。

オデッセウスの船は、この大渦に飲み込まれ難破してしまいました。

オデッセウスは怪物の棲む洞窟に引き込まれ、怪物におそわれましたが、洞窟の岩上に生えている無花果の枝に飛びつき、難をのがれ、再び渦が船を吐き出す時、マストに飛びつき、無事、脱出しました。

後代では、このカリュブディスは、イタリアとシシリアの間のメッシナ海峡に棲むとされるようになりました。。

カリュブデスの対岸の洞窟には、スキュラという、三重の歯をもつ六つの顔と十二本の足を持つ海の怪物がいました。

スキュラは船が近づくと六人の船員をとって喰い殺してしまいました。

アルゴ船は無事、カリュブディス側を通ったため、スキュラとは何事も起りませんでしたが、オデッセウスはここで部下を六人失ったそうです。

スキュラは海神ボリュキス(ボリュパース)とヘカテー、あるいはテュポーンとエキドナの娘、またはラミアーの娘とされ、もとは大変美しい乙女であったとされています。

海神グラウスコスがスキュラを愛し、キルケーを拒んだため、キルケーがスキュラの沐浴する泉に魔法の草を入れ彼女を変身させ、二人の間を裂いたとされています。

また別の伝説では、ポセイドンがスキュラを愛したため、アムトリーデーがキルケーに頼んで、藍物にした、スキュラをグラウスコスが愛し、彼女がポセイドンを拒んだため、ともされています。

ヘラクレスが、ゲーリュオーンの牛を食べたため、退治知れましたが、彼女の父ボルキュスが彼女を生き返らせたという話もあるそうです。

カリュブデスとスキュラの海峡を通ったアルゴ船は、火煙ののぼる岩の浮き島を通過し、バイアーケス人の住むスケリア(コルキューラ)島に着きました。

この島にはアルキオス王と妃アーレーテーのおさめる島で、その市民は航海にたけた商人でした。

バイアーケス人は、伝説的な民族として描かれ、はじめヒュペリエーに住んでいましたが、キュクロープスたちに追われて、スケリア島にうつりました。

彼らの船は思うまま欲するままに早やかに海を渡る魔法の船で、武芸やスポーツよりは快楽を好み、饒舌で多少傲慢でしたが、親切な人々でした。

オデッセウスはこの島に漂着した時、王女ナウシカアーに救われ、アルキノオス王に救われ、歓待されて王の船でイタケーまで送りとどけました。

しかしこの事を怒ったポセイドンはゼウスの許しを得て、オデッセウスを送り届けた王の船を石と化し、バイアーケス人の町を山で囲んでしまいました。

アルゴ船がこの島に来た時、この島にはコルキス王アイエーテースの送ったコルキス人が先に到着しており、アルキオス王は、イアソンからメディアを引き渡すよう要求されたのです。

アルキオス王は、もし、王女メディアがすでにイアソンと夫婦の契りをむすんでいるならイアソンのもの、まだ処女なら父に送り返そうと答えました。

妃アーレーテーは、その事を知ると、メディアをイアソンと契らせ、アルゴノーツは無事にメディアを連れてスケリア島を出航したのでした。

迎えのコルキス人はそのままスケリア島に住み着いたという事です。

スケリア島を出航したアルゴ船はすぐに大嵐に会い、九日九晩嵐にほんろうされ、船はアフリカのシュルティスに吹きつけられました。

英雄たちは船を担いで、リビアのトリートーニス湖まで担いで行き、そこで海神トリトンに出会いました。

海神は将来キューレーネーを保有することの約束として、この地の土をアルゴノーツに与え、湖から海への道を指し示しました。

こうして、アルゴ船は再び出航したということです。

トリトンはポセイドンとアムビトリーデーの子で、古くはアイガイの沖合の海底の宮に住んでいると考えられていましたが、後に半神半魚の姿でポセイドンに従って海馬にまたがりホラ貝を吹き鳴らして海を鎮める姿で想像されました。

また、パラス、トリーティアは彼の娘とされています。

ヘレニズム時代に入ってアフリカのトリートーニス湖の神とされ、アルゴノーツの伝説を残し、また他の地でも伝説を残しています。

ウェルギリウスでは、ミーセースが自分にラッパの競技を挑んだのを怒って溺死させました。

ボイオーティアのタナグラでは、女たちがディオニッソスの祭りの間に湖で沐浴している時、トリトンが襲って来ましたが、女たちの祈りに酒神バッコスが応えて、トリトンを追い払ったとされています。

これには異説があり、トリトンは自分の湖の岸で家畜を奪っていましたが、人々が酒瓶を岸においていた所、神はこれを飲んで酔い、斧で打ち殺されたというものもあるそうです。

ちなみにリビアのトリートーニス湖は、昔は内海でしたが、今は小さくなっているそうです。


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トリートーニス湖から海に出たアルゴ船は、クレタ島に向かいました。

クレタ島には青銅の巨人タロスがいました。

タロスは、クレースの子で、ヘーバイトスは彼の子とされています。

一般にはヘーバイトス(あるいはダイダロス)が造った青銅人間で、ミーノースに与えられたとされていますが、彼は最後の青銅族であるという説、また彼を牡牛とする説もあります。

タロスは首から踵(かかと)まで、一本の血管を持ち、その終わりの所には青銅の釘がはめてありました(膜で覆われていたともあります)。

タロスはゼウス(あるいはミーノース)によって島の番を命じられ、日に三度、島をめぐって、島に人が出入りする事を許さず、侵入者を見つけると大岩を投げ、体を灼熱させて相手に抱きつき焼き殺しました。

アルゴノーツがこの島に上陸した時、タロスと争いとなり、メディアがタロスを不死身にしてやると約束し、踵の釘を抜いて殺したとも、メディアがタロスに幻影をみせ、薄い膜になっていた踵を掻きむしったため死んでしまったともされています。

またはボレアースが踵を射て殺したとしています。


アルゴ船はクレタ海を進みました。

しかし、アルゴ船は霧に包まれ、そして大嵐会い、どこを航海しているのか、わからなくなってしまいました。

アルゴノーツたちの祈りによって、アポロンが海中に矢を射て稲妻を放ち、その光で海の中に小島を発見し、アルゴ船をその島に停泊させました。

その島はアナペー(Anaphe)と名付けられ、アルゴノーツはその島にアポロンの祭壇を建て供物を捧げました。

アーレーテーによってメディアに十二人の侍女が与えられ、侍女たちは供物の際、人々と戯れながら揶揄したそうです。

以後、この島の人々は犠牲を捧げる時、女たちが揶揄する習慣が生まれました。


この後、アルゴ船はアイギーナ島に寄港、エウボイア島とロクリスの間を通ってイオールコスに帰ったのでした。

    アルゴ船の伝説、終わり。


 
 
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