ぎょしゃ座の伝説。

ぎょしゃ座はアルファ星カペルラを中心にした五角形とカペラのわきの小さな三角形で出来た星座です。

ギリシャでは、「ヘニオクース(たずなを取る者)」と呼ばれ、ぎょしゃの名はそこから出て来ていますが、星図絵では、三匹のヤギをだいた優しそうなおじいさんの絵として描かれています。

アルファが母ヤギでギリシャ名カペルラ(英名カペラ)、その近くの三等星と四等星が、二匹の子山羊でハェディ(ヤギの子)と呼ばれ、英名をギャップ(ヤギの子)と言うそうです。

ぎょしゃ座は五つの明るい星があるため、日本では「互角星」と呼ぶ地方があちこちにあり、中国では「五車星」と呼ばれていたそうです。

このぎょしゃは、ギリシャ神話では「エリクトニオス」、または「ミュルティロス」とされています。

まずエリクトニオスの神話から。

エリクトニオスは神話的な古いアテナイ王で、一説にはヘーバイトスとアッティス(クラナオスの娘)の子とされていますが、一般的な誕生時の話は別の出自を語っています。

女神アテナが武具を注文するためにヘーバイトスの所に赴いた所、彼はアフロディテーに捨てられた所で、アテナを見て欲情の虜となり、女神に挑みかかりました。

アテナは逃げましたが、ヘーバイトスはびっこにもかかわらず女神に追いつき交わろうとおしたおしました。

しかし女神はそれを拒み、彼の精液は女神の足にまかれたため、アテナは怒ってこれを毛で拭き取り大地に投げ捨てました。

こうして大地が身ごもり、エリクトニオスが生まれたとされています。

アテナは彼を不死にしようとして、他の神々に隠して育てました。

エリクトニオスを箱にいれ、アテナイ初代王ケクロプスの娘パンドロソス(またはアグラウロス・ヘルセーを加えて三人)に、箱を開ける事を禁じて育てさせました。

しかし彼女(達)は好奇心に勝てず箱を開け、箱の中に、赤子と赤子を抱いている大蛇、または赤子自身が大蛇であったとも、赤子の下半身が大蛇だったとも言われているものを見て発狂、またはアテナの怒りにあい発狂、アクロポリスより投身したとされています。

ちなみにアテナイ初代王ケクロプスも大地より生まれたため下半身が蛇身であったとされています。

彼はそののちアテナによりアクロポリスの境内で育てられ、ケクロプスのあとを継いで、またはアムビクテュオーンを追放して、アテナイ王となり、アクロポリス山上にアテナの神殿を建て、パンアテーナイア祭を起こし、初めて四頭立ての戦車を駆りました。

このため、星座のぎょしゃ座であるとされ、死後、神として祭られたそうです。


次はミュルティロスの神話です。

ミュルティロスは、ヘルメスとパエトューサ、またはクリュメネーとの子で、オイノマーオスの御者をしていました。

オイノマーオスはアーレスとハルビンナまたはエウリュトエー、またはステロペーの子で、ステロペーまたはエウアーレーテーを妻に迎え、娘ヒッポダメイアを得ました。

オイノマーオスは娘に恋をしていたためか、婿の手にかかって死ぬという神託を受けていたためか、娘の求婚者にある条件を与えました。

それは、ヒッポダメイアを自分の車に乗せて、コリントス地峡まで、自分の追跡をかわして逃げ延びる事でした。

しかしオイノマーオスはアーレスに授けられた馬をもっており、求婚者が先に走り出し、自らはゼウスに牡羊を生け贄に捧げた後追いかけても、充分追いつく事が出来たのです。

オイノマーオスは、こうして求婚者に競争を仕掛け追いついては殺してしまい、多くのもの、一説には十二人を殺し、その首を自分の家に釘付けとし、さらしたのでした。

そしてまたも、ペロプスという若者が、ヒッポダメイアに求婚に来たのです。

しかし今度は様子が違いました。

ヒッポダメイアは会ったばかりのペプロスに恋をしてしまったのです。

彼女は困って、父オイノマーオスの御者ミュルティロスに助けを求めました。

ミュルテロスは彼女を愛していたため、またはペプロスに買収されて、オイノマーオスの戦車の車輪のこしきにくさびを差し込まず、このため戦車競争で、車輪が外れてしまい、オイノマーオスは死んでしまったのです。

オイノマーオスは死ぬ間際にミュルティロスの裏切りを知り、ミュルティロスがペプロスの手にかかって死ぬよう呪いをかけて死んでいきました。

ペプロスは、ヒッポダメイアを連れ、ミュルティロスを御者に旅行に出かけました。

そしてヒッポダメイアが咽の渇きを訴えたため、水を汲みに行きました。

ミュルティロスは二人きりとなった時ヒッポダメイアを犯そうとしました。

これを知ったペプロスは、ミュルティロスをゲライストス岬から彼の名を取ったミュルトーオン岬へ突き落とし殺してしまいました。

これはペプロスが彼に約束の褒美を与えないよう殺したともされています。

ミュルティロスは死後ヘルメスによってぎょしゃ座となったとされています。


ぎょしゃ座の一等星のカペルラは、一等星の中でもっとも天の北極に近く、光度0.2度、距離四十二光年、クリーム色の光の星です。

カペルラは、ギリシャ神話ではゼウスに乳を飲ませ育てたヤギ「マルテア」とされています。

古代バビロニアでは、カペルラはディルガン、またはイクと呼ばれ、最高神マルドゥクの星とされました。

この星が新月と西の空に並んでかかる日が元旦で、天文僧がトランペットを吹いて人民に新年を告げたと伝えられているそうです。

エジプトでは、世紀前五千三百から千八百五十年の間に立てられたカルナックを初め五つの神殿は、カペルラの光を神像の目に導くようになっていたそうです。

また、デンデラー神殿に残る星図には、冠をいただいた男が、手を広げて持っている猫のミイラとなっています。

またインドでは「プラーマの胸」の星としてあがめられているそうです。

アラビア人は、この星が他の星に先んじて北の空高く輝くので、カペルラを「星の長」と呼びました。

また、ほとんど同時に昇るプレアデス星団(昴)をラクダの群れと見て、カペルラをその列の前に立って、ハドウの歌を歌うラクダ使いと見たそうです。


 
 
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