大いぬ座の伝説。

オリオン座の三ツ星から東南三十度の方向に青く輝く星が見えます。

これがシリウスで、大いぬ座のアルファです。

大いぬ座は小いぬ座と共にオリオンの猟犬で、ギリシャでは「キオーン(犬)」、ローマでは「カニキュラ(犬)」と呼びました。


ギリシャ神話では、ちょっとかわいそうなお話となっています。

まず、概要の神話です。

昔、クレタ島の王が、プロクリスという女性に狙ったものを必ず捉える猟犬ライラプスと、狙った獲物を必ず仕留める槍を贈りました。

プロクリスは夫のケファロス(ケバロス)に、この犬と槍を上げました。

ケファロスは、農村を荒らす狐を捕まえに出かけました。

そして、そこでライラプスの追う狐に、ケファロスは槍を投げました。

しかし、ここで、仮に槍が狐を仕留めると、ライラプスが狐を仕留める事が出きません。

ライラプスが狐がを仕留めると槍が狐を仕留める事が出きません。

そこで、この矛盾を解決するため、ゼウスはライラプスと槍を空に上げ、星座としたそうです。


ここからは正しいとされる伝説です。

プロクリスは、アテナイ王エレクテウスの娘で、ケファロスの妻となりました。

ところがプテレオーンに黄金の冠をもらって通じ、それを夫に見つけられたためミノス王の元に逃れました。

しかしミノス王も彼女に言い寄ったのです。

ミノス王は妻のパーシパエーによって魔法をかけられ、妻以外の女性と枕を交わすと、蛇や蠍を体から生み出し、女を殺したためプロクリスと夜を共にする事が出来ませんでした。

プロクリスは魔女キルケーから得た薬草でミノス王を無害とした後、枕をかわし、その報償として、必ず獲物を捕らえる速い犬ライラプスと、必ず獲物をあたる投げ槍をもらいました。

プロクリスは、アテナイに帰り、ケファロスと仲直りし、犬と投げ槍を彼に贈ったとされています。


さて、ケファロスは一般的には、アッティカのトリコスの町のケバリダイ族の祖とされ、アッティカ王の娘ヘルセーの子とされています。

古い叙事詩ではケファロスの妻をミニュアースの娘クリュメネーが妻としていますが、後代になるとクリュメネーは別のものの妻となっており、いろいろな異説があります。

ケファロスは曙の女神エーオースに気に入られさらわれて、結ばれました。

そして二人の間にはパエトーンが生まれましたが、ケファロスは女神を棄てアッティカに帰り、エレクテウス王の娘プロクリスを妻に迎えました。

そして妻から、必ず獲物を捕らえる速い犬ライラプスと、必ず獲物をあたる投げ槍を贈られたとされています。

ケファロスはこのライラブスを使い、テウメッサの牝狐を捕まえ、アムビトリュオーンを助けました。

これは、アムビトリュオーンがアルクメーネーと結婚する際、彼女が兄弟の敵を取れば、と条件を出し、そのためクレオーン王の助けを求めたところ、何人にも捉える事の出来ない運命をもったテウメッサの狐を追い払えば、と条件を出したため、ケファロスが自分の犬ライラブスを使ったのです。

何人も捉える事の出来ない運命の狐と、追いかけたものは必ず捕える運命の犬の対決は、ゼウスによって二匹とも石と変えられる事によって解決された、とされています。

そののち、ケファロスは妻プロクリスの貞節を疑い、八年間留守にした後、身を変じて妻に近づき、莫大な贈り物をして彼女の貞操を買おうとしました。

そして妻が誘惑に負け、身を委ねようとしたした時、正体を現したのです。

妻は怒りと屈辱で山中に逃れ隠れましたが、ケファロスは後悔し後を追って仲直りしました。


しかし今度は、妻が夫を疑いました。

夫ケファロスは狩りに出かけている間に、しばしばネペレー(雲)、アウラー(そよ風)と呼んでいる事を召使いから聞き、雲や風を呼んでいるのに、女の名前と間違えて、夫の後を隠れて追いました。

ケファロスは隠れている妻プロクリスを獣と間違え、槍を投げたため、あやまって妻を殺してしまったのです。

一説には、これは、女神エーオースが、自分の所から逃げて若い女と結婚したため、呪いをかけたものとしています。

信頼しあえてたら、何年も幸せだったのに、ちょっと悲しい物語でした。


ケファロスはこの件が元で追放され、その後の伝説に一つ変わったものがあります。

ケファロスは自分の息子を得るにはどうしたら良いか?デルポイの神託を求めた所、「最初に出会った女性のものと交わるべし」と神託を得ました。

するとケファロスは牝熊と出会ったため、これと交わると、熊は美女に変わり、アルケイシオスを生んだ、とされています。

動物に変身した女って結構有名な神話形態なんだけど、こんな所に原形があったんだ。

ちょっとビックリ。


大いぬ座が有名なのは、全天で二十ある一等星のうち一番明るいシリウスがあるからだそうです。

シリウスは高度マイナス1・5等、標準の一等星の十三倍の光を放ち、地球から距離8・6光年の距離にあります。

シリウスの名前は、ギリシャ語のセイリオス(やきこがずもの)から出ています。

この星が太陽より先に昇る、七月十三日から八月十一日までを「犬の日」と呼んで、草木が枯れる炎暑をこの星と太陽のなす事として、ローマ時代には赤犬を生け贄にして厄を祓ったそうです。

近年も「犬の日」の間は子供たちは泳ぐのを禁じられており、川の水を飲むと病気になるとか、足に水虫が出来ると言われていました。

中国ではシリウスを狼または天狼としました。

これはおお犬とは関係なく、シリウスの近くに夜鶏(やけい)という星があり、シリウスがこの近くにあるため、この名がついたそうです。

この天狼星が色を変えると、盗賊が起るとか、賊兵が攻め込んで来ると言って恐れたそうです。

古代エジプトでは、シリウスは、夏至の日の出前に、太陽(神ラー)の光とまじって東に昇り、それが国土の母と言われるナイル川の増水と時を同じくしたため、大変、崇拝され、ソティス(水の上の星)と呼ばれました。

そしてこの日がエジプトの元旦で一年の始まりの日としていました。

エジプトでもシリウスを犬「トート」と呼んでいました。

これは忠実な犬が吠えるように、ナイルの増水を知らせると考えられていたためらしく、一月の月名もトートでした。

シリウスは神としてはアヌビス=犬の頭をもった冥府の神と見られていました。

アヌビスには神殿の壁に両腕に鍋を抱え足に羽根をはやし、蛇や亀やガチョウをつれている絵が残っていて、これはシリウスが昇るとナイルが増水するため、急いで家具をまとめ、家畜を連れて立ち退けと戒めたものだそうです。

また、シリウスは、女神イシスの星とも見られていました。

これはシリウス=夜明けの美しい星を愛と生命の星と考えたためで、またイシスはオシリス神話でナイル川と深い関係にあったためだそうです。

イシスを祭ったデンデラー等五つの神殿は元旦の朝に昇るシリウスに向けて建てられその光が、神像の目に当たるようになっていたそうです。

デンデラーの神殿ではシリウスを「デンデラーの女王」と呼んでいたそうです。


 
 
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