蠍座-その他の伝説。

大西洋南部で見える南の星空でも、ケンタウロス座、南十字星、蠍座の三星座はよく見えるため、南方の空を代表するものとなっているそうです。

その蠍座の尾のカーブを釣り針と見て、それを元にした伝説もあります。

マウイという英雄は、火の神マライカが指にともしている火を盗んで来て、人間に火を用いる方法を教えたり、太陽に縄をかけて、その出入りを遅くしたりした英雄でした。

そして、空にはマウイが空に引っ掛けた釣り針が今でも残っているものと伝えられていました。

マウイの兄たちは、釣り針を持っていましたが、マウイは持っていませんでした。

彼らにはとても年をとった老婆があり、兄弟は代わりがわり食物を持って行っていましたが、なまけるので、マウイは毎日老婆のもとに食べ物を運んでいました。

ある時、マウイが食べ物を運んでいくと、老婆はもう死にかけていて、マウイに向かって言いました。

 「マウイ、毎日ごくろうさんだった。

  私が死んだら、私のあごを持ってお行き。

  いい釣り針となるよ。」

おばあさんはそう言い終わるとなくなり、あごがポロンと落ちて釣り針になりました。

マウイはおばあさんのアゴを釣り針にして、戻ってくると、ちょうど兄たちが丸木舟で釣りに出かける所でした。

マウイは一緒に連れていってくれと言いましたが、兄たちはののしって連れていこうとしませんでした。

そこで、魔法を使って、小人となり、こっそり船に乗り込んで、船が沖に出てから、姿をあらわしました。

兄たちは驚いてマウイを置いて行こうと、船を岸にこぎましたが、岸がどんどんあとすざりして、帰る事ができませんでした。

「しかたない、どうせ釣り針を持っていないのだから、船の水あかでも汲み出させておけ。」

そう言って、仕方なく連れていく事にしました。

兄たちが釣っている間、マウイはおとなしくしていましたが、帰り際に「俺にも釣らせてくれ」と言って、隠していた釣り針を取り出しました。

しかし、兄たちはエサをくれないので、マウイは自分で鼻を殴って血を出し、糸にしみ込ませると、それをまるめてエサにして海に投げ込みました。

すると、すぐに何かがかかって、糸がピンと張りました。

兄たちもこれは大物がかかったとワイワイ大騒ぎしました。

マウイが引き上げると、針の先には島がかかっていて、まるで魚のように海の中を暴れ回りました。

島があまりに暴れ回るので、マウイの手に余りました。

マウイは、

「これは綱で縛らなくてはダメだ。縄を捜して来る間、兄さんたち、島を、そっとしておいてください。」

と言って、陸へ泳いで行きました。

しかし、兄たちは、島が暴れ回るので、それをしずめようとナイフで散々に切りつけました。

島はその痛さにもっと激しく暴れ回り、とうとう丸木舟を木っ端みじんに砕いて、兄たちは死んでしまいました。

マウイは綱でようやく島を縛り上げて、おとなしくさせました。

それが今のニュージーランドの北島で、今でも「テ・イカ・マウイ(マウイの魚)」と呼んでいます。名前通り、魚の形の島で、兄たちが切りつけた傷跡が、あちこちの山や谷になって残り、釣り針は、マタウ・ア・マウイという岬になったとしています。

しかし、この釣り針は、跳ねて空に引っかかり、星になったとされ、それが蠍座の尻尾の部分になったとも言われています。


 
 
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