ヘラクレス十二の冒険。

ヘラクレスは、ミュケナイ王エウリュステウスに仕え、十二の功業をはじめます。

  一番目はネメアのライオン退治

  二番目はヒュドラ退治です。

そして三番目は、ケリュネイアの鹿の捕獲です。

前三世紀の詩人カリマコスによれば、この鹿は、かつてアルテミスがリュカイオン山中で見つけた、金色の角を持つ五頭の鹿のうちの一頭で、四頭はアルテミスの戦車につながれましたが、一頭だけヘーラーの命により、ヘラクレスを試すため、ケリュネイア山中に放してあったとされています。

ヘラクレスはこの鹿を捕獲しなければならなくなりましたが、この鹿はすでにアルテミスに捧げたあったため、殺す事が出来ませんでした。

そのため、ヘラクレスは一年の間、この鹿を追い続けたのでした。

鹿は疲れ果て、アルテミシオンの山中に逃れ、そこからラードーン河に出て、渡ろうとした所を、ヘラクレスは、弓で軽く射て捕まえ、その鹿を肩に担いで、急いでアルカディアを横切って進みました。

そこへアポロンを伴って、アルテミスが現れ、彼女は自分の聖獣を殺そうとしたとヘラクレスを攻め、聖獣を奪い返そうとしました。

ヘラクレスは、これはエウリュステウスが責任者であると、アルテミスの怒りを静め、鹿を生きながらミュケナイへと運びました。

紀元前六〜五世紀のギリシャの詩人ピンダロスは、英雄が鹿を追って北へ北へと進み、ついにヒュベルボレイオス人の国に赴き、そこでアルテミスに迎えられた、という秘教的物語を伝えているそうです。

  四晩目の冒険は、エリュマントスの猪の生け捕りです。

この冒険の途中、ケンタウロスとの戦闘があり、一族を滅ぼしてしまいます。


五番目の冒険は、アウゲイアースの家畜小屋の大掃除です。

エーリス王アウゲイアースは太陽神ヘリオスの子で多くの牛(三千頭)を所有していましたが、その牛達の小屋を三十年間掃除した事がありませんでした。

ヘラクレスはエウリュステウスの命と言わずに、家畜の十分の一をくれるなら、一日でたまった糞を小屋から運び出そうと言いました。

アウゲイアース王はこの途方も無い申し出を出来ない事とたかをくくり、出来るなら家畜を十分の一くれてやると約束してしまいました。

ヘラクレスはアウゲイアース王の息子ピューレウスを証人に立て、家畜小屋の一方の土台に穴を開け、もう一方に流出口をつけました。

それから、家畜小屋の側を流れている、アルペイオスとペーネイオスの流れを引いて、これを流し、糞を出してしまったのです。

アウゲイアース王はヘラクレスがエウリュステウスの命でこれを行った事を知ると、報酬を与えないばかりか、約束した事も認めず、これに関しては喜んで裁きを受けると言いました。

しかし審判者の前で息子のピューレウスは正直に証言したため、アウゲイアース王はヘラクレスとピューレウスをエーリスを立ち退くよう命じました。

このためヘラクレスは、オーレノスのデクサメノスの所へ去ったのでした。

デクサメノスは「迎える人」の意味で、彼の娘ムネーシマケーはヘラクレスの許嫁となっていました。

しかし、ケンタウロスのエウリュティオーンが、彼女を無理矢理妻にしようとしていたため、彼を殺し、ムネーシマケーと結婚しました。

結局、この冒険で、牛がもらえたのかどうか?書いてありません。

どうなったんだろう?

六番目の冒険は、ステゥムバーリデスの鳥退治です。

この鳥達はアルカディアのステゥムバーロス湖畔の深い森の中に、狼を恐れて逃げ込んだ無数の鳥で、近隣の田畑を荒らしていました。

一説には人をも喰らったとされ、

また一説には、この鳥は聖堂の爪、翼、くちばしを持ち、翼を矢のように放って的を倒す、アーレスに養われた鳥であるともされています。

ヘラクレスはこの鳥を退治しようとしましたが、森より追い出す方法が無く、途方に暮れました。

アテナは彼にヘーバイトスに作らせたガラガラを与え、ヘラクレスは子のガラガラを湖水近くの山の上で打ち鳴らし、飛び出して来た鳥を次々と射落とし退治しました。

この話は後に、この鳥達はステゥムバーロスの娘達で、ヘラクレスの敵のモリオネを歓待しながら、ヘラクレスを歓待しなかったため殺された、という史実のたとえであるとも考えられました。

七番目の冒険はクレタの牝牛です。

このクレタの牡牛は、一般にはミノス王の牝牛とされています。

ミノス王は王になろうとした時、まわりのもの達に反対されてしまいました。

ミノスはゼウスとエウロペーの子で、神々からクレタを授けられたとし、その証拠に神はいかなる自分の願いも聞くとして、ポセイドンに海底より牝牛を送られる事を願い、その牝牛を神に捧げる事を約束しました。

ポセイドンは海底より牝牛を送り、ミノスはクレタの王となったのですが、ミノスは送られた牛があまりに見事なため、ポセイドンには別の牛を捧げてしまいました。

これに怒ったポセイドンは送った牝牛を狂わせ、凶暴な牝牛としたのです。

この牛を捕まえる事を命じられたヘラクレスは、ミノス王に協力を求めましたが、ミノスは自分で戦って捕まえるように答えたため、ヘラクレスはこの牝牛を捕まえ、エウリュステウスのもとにつれていきました。

そしてこれをヘーラーに捧げようとしましたが女神は拒否、そのためヘラクレスはこの牝牛を放って自由にしたそうです。

放されたのち、この牝牛はスパルタとアルカディアを通り、コリント地峡をわたり、アッティカのマラトーンに来て住民を悩ませたそうです。

そしてのちにテーセウスによって退治されたとされています。

    かんむり座の神話。

この狂った牝牛には異説があり、一説ではゼウスがエウロペを運んだ牡牛とも、パーシパエーが恋した牝牛ともされています。


八番目の冒険はディオメーデースの牝馬です。

これはトラキアのビストン(Biston)人の王、ディオメーデースの四頭の人喰い馬の事で、それぞれ、ポタルゴス(Podargos)、ラムボーン(Lampon)、クサントス(Xanthos)、デイノス(Deinos)と言う名前でした。

ヘラクレスはエウリュステウスに命じられて、彼の世話人とともに、馬を捉えに海を渡ってトラキアへ赴きました。

ヘラクレスは、馬の世話人たちを圧伏して、馬を奪い、ディオメーデースを殺し、または人喰い馬に喰わせて殺したとされています。

一説には、ヘラクレスが馬を捕らえて海岸まで引いて来た所、ビストン人が武装して襲って来たため、ヘルメスの子のアプデーロス(ヘラクレスの愛する少年とされています)に牝馬をあずけ、敵と戦って敗走させました。

しかしアプデーロスはその間に人喰い馬に食べられてしまい、ここに墓を建て、のちにアプデーラ市を築きました。

エウリュステウスはこの馬をヘーラーに捧げたとも、オリュンポスの野で野獣に食われたともされています。

九番目の冒険はアマゾネスの女王ヒッポリュテーの帯です。

女王はすべてのアマゾネスの第一人者としてアレスの帯を持っていました。

これをエウリュステウスの娘アドメーデーが欲したため、ヘラクレスがアマゾンへと赴きました。

ヘラクレスは仲間とともに一隻の船で海を行きました。

最初にバロス島へ上陸、ミーノースの子供たちと戦い彼らを征服、ミーノースの子アンドロゲオースの二人の息子を人質に取り出航。

小アジアのミューシアのダスキュロスの子リュコスの所へ来て客となり、その味方をして、ベブリュクス人と戦い、アミュコスの子ミュグドーンをはじめ多くの敵を倒し、敵の地を割いてリュコスに与えました。

リュコスはこの地全体をヘラクレイアと呼び讃えました。

こうして、ヘラクレスはアマゾネスの地、デミスキューラにある港へ入って行きました。

港にはアマゾネスの女王ヒッポリュテーが迎えに来ており、ヘラクレスに帯を与えると約束しました。

しかし、ヘーラーはアマゾネスの一人に身を変じて、異邦人が女王をさらおうとしていると触れ回り、住人を煽動、アマゾネスたちは武装して馬に乗り船を取り囲みました。

これを見たヘラクレスは騙されたと思い込み女王を殺して帯を手に入れ、他のものと戦って倒し、港を出港したのです。

異説には、アマゾネスは、ヒュッポリテーの友達、または妹のメラニッペーが捉えられたため交換に帯を与えましたが、その後再び戦闘となり、ヒュッポリテーはヘラクレスに、メラニッペーはテラモーンに討たれた、となっています。

その後、ヘラクレスはトロイアへ寄航しました。

当時、アポロンとポセイドンの怒りにふれていました。

二人の神は、この地の王ラオメドーンの放埒を試すべく、人間の姿となって、市の城壁を対価をもらって築くと約束、神々は城壁を築きました。

しかしラオメドーンは報酬を支払わなかったため、アポロンは疫病を、ポセイドンは高波とともに怪物を送り人々をさらいました。

ラオメドーンは、「娘ヘーシオネーを怪物の餌食とするなら災いは止む」との神託に、娘を海岸の岩に縛りつけ、生け贄としました。

これを見たヘラクレスは、ゼウスがガニュメデスを奪った代償に与えた牝馬を、王がくれるなら助けてやろうと約束、怪物を倒しました。

しかし王はまたも約束を守らず、ヘラクレスはトロイアに戦を開くと宣言して出航しました。

次に、アイノスに寄港。

ボルティスの客となり、出航の際、ボリティスの放埒な兄弟サルベードーンを射殺。

次に、タソス島へ上陸、トラキア人を征服して、この地をアンドロゲオースの子に与えました。

それからトローネーで、ポセイドンの子プローテウスの子、ポリュゴノスとテーレゴノスが相撲を挑んで来たので、相撲をとって殺害。

ミュケーナイに帰って、エウリュステウスにアマゾネスの女王ヒッポリュテーの帯を渡しました。


十番目はゲーリュオーンの牛です(これも長い・・・)。

ゲーリュオーンはエリュテイアに棲む怪物で、無数の牛を持ち、牛飼いのエウリュティオーンと番犬オルトロスが番をしていました。

エリュテイアは古くはエーベイロス、のちにはスペインのガデイラにある地とされ、その名の示す通り、「紅色の島」、すなわち西方、太陽の沈む夕陽の地です。

ヘラクレスは欧州を通り、多くの野獣を殺し、リビアに入り、タルデーッソス(Tartessos)に入りに到着、記念に欧州とアフリカの山頂に向かい合って二つの柱「ジブラルタルのヘラクレスの柱」を立てました。

そこから大洋「オーケアノス」を渡るために太陽神に向かって弓を引き絞りました。

すると太陽神は感嘆し、神が毎夕西に沈んだのち、東方の自分の宮殿へ帰るのに使う黄金の大盆をヘラクレスに貸し与えました。

ヘラクレスはその大盆にのってエリュテイアに渡りましたが、途中、大洋オケアノスがヘラクレスの力を試すべく、大波を起こしました。ヘラクレスはオケアノスに向かって弓を引き絞ったので、大洋神は恐れて波をしずめ、ヘラクレスは無事、紅色の島エリュテイアに到着したのでした。

エリュテイアに着いたヘラクレスはアバース(Abas)山中に泊まりました。

番犬オルトロスはヘラクレスを見つけると襲いかかりましたが、ヘラクレスは棍棒で打ち殺し、牛飼いのエウリュティオーンも倒しました。

その近くでハーデスの牛を飼っているメノイテースが、事態をゲーリュオーンに告げたため、ゲーリュオーンはヘラクレスを追いかけ、アンテムース(Anthemus)河畔で追いつき戦闘となりました。

しかしヘラクレスは彼を弓で射て殺し、牛を大盆に乗せて、タルデーッソスに帰ると、太陽神に大盆を返しました。


ここから帰途のお話です。

ヘラクレスは牛を連れて、スペイン、ガリア、イタリア、シシリア、イシュリアを通って、陸路ギリシャに着きました。

イタリアにヘラクレスの物語がたくさん残っているそうですが、そのお話はすべてこの物語に入っているそうです。

まず、ヘラクレスは、スペインの・フェニキアの植民都市、アプデーラの地を通り、リグリア(Liguria)に着くと土民が襲って来ました。

彼は多くのものを射倒しましたが、矢がつきてしまいました。

土地には石も無かったので、ヘラクレスがゼウスに祈ると石の雨が降り、これによってヘラクレスは敵を追い払いました。

これはマルセイユとローヌ河との中間にあるクロー(Crau)の野での出来事とされています。

次にヘラクレスは、ポセイドンの子イアレビオーンとデルキュノスが牛を奪おうとしたため、彼らを倒し、エトルリアを通って進みました。

こうして、牛を伴ってギリシャへ向かっていたヘラクレスですが、南イタリアのレーギオン(Rhegion)で、一頭の牛が走り出し、海峡を渡って、シシリア島に上り、エリュモイ人の王エリュクスの領有する平野にきました。

エリュクス王はその牛を自分の家畜の群れに紛れ込ませました。

ヘラクレスはヘーバイトストスに牛を託し、エリュクスの家畜の中から逃げた牛を発見、エリュクスを倒して牝牛を取り返し、他の牛とともにイオニア海へ追って行きました。

しかしヘーラーが、牛にアブを送ったため、牛はトラキア山中でチリジリとなりました。

ヘラクレスは牛を追い集め、一部を捕まえて、ヘレースボントスに連れて行きましたが、一部は残され、その後、野生化しました。

この牛追いの時、ストリューモーン河が邪魔となったので、かつて船で渡る事が出きた流れを、岩でせき止めてしまいました。

そして牛を連れ帰りエウリュステウスに与え、その牛をエウリュステウスはヘーラーに捧げました。


  十一番目はヘスペリオスの園の黄金の林檎です。

そして、十二番目、最後の仕事は「ケルベロス犬」です。

エウリュステウスは、ヘラクレスに最後の仕事として、地獄の番犬ケルベロスを連れて来るよう命じられました。

ヘラクレスは死者以外に行く事が許されない冥界へ降りる法を教わるため、秘教に入会しようと、まず、エレウシスのエウモルボスを訪ねました。

当時、異邦人は秘教に入会出来なかったため、ピュリオスの養子となり、エウモルボスによってケンタウロス殺戮の穢れを潔めてもらい、入会を認められました。

しかし、生きている身のヘラクレスが冥界へ降りる事が出来るはずが無く、ゼウスの命により、ヘルメスとアテナが案内にたち、ラコーニアのタイナロンの洞窟から冥界へと降りて行きました。

冥界へ降りると、諸霊はヘラクレスを見て、驚いて逃げました。

ただ、メデューサとメレアグロスだけがヘラクレスに近づいて来たのです。

ヘラクレスはメデューサに刀を抜きましたが、ヘルメスは、あれはメデューサの影にすぎないと教えました。

そしてメレアグロスには弓を引きましたが、彼は近づいて自分の最後の様子をヘラクレスに話しました。

ヘラクレスはその話に涙を流し、メレアグロスの妹デーイアネイラをつまにすると約束しました。

こうしてヘラクレスは地獄を進み、門の前へとやって来たのでした。

地獄の門には、ペルセポネーに求婚したペイリトオスと、彼をたすけたテーセウスが、縛り付けられていました。

ヘラクレスはペルセポネーの許しを得て、まずテーセウスを助けました。

次にペイトリオスを立ち上がらせようとすると、大地が揺れ動いたので、そのままにしました。

それから、岩の下敷きになっているアスカラボスを助けるため、岩を押しのけ、霊魂に口を聞かせるため血を吸わせようと、ハデスの牝牛を一頭殺しました。

ハデスの牛飼いメノイテースは、これに怒りヘラクレスに挑戦しましたが、反対に胴をつかまれ、肋骨を砕かれてしまい、ペルセポネーの仲介で、ヘラクレスは彼を放しました。

ヘラクレスはハデスにケルベロスを求めました。

するとハデスは武器を使わないで捕まえるのであれば連れていくがよいと答えました。

ヘラクレスはライオンの皮を身にまとい、胸当てをつけて、ケルベロスを捜しました。

ケルベロスはアケローン門の前にいました。

ヘラクレスはケルベロスに素手で挑み、頭を押さえ込みました。

ケルベロスは尻尾の竜で噛みつきましたが、ヘラクレスは屈服するまで締め付けました。

ヘラクレスはケルベロスを連れ、トロイゼーンを通って地上に出ました。

そしてエウリュステウスにケルベロスを見せると、地獄へ放ったのでした。

この冒険によりヘラクレスは晴れて自由の身となったのです。


ヘラクレスの物語はこの冒険譚の後も続きます、が、この三倍程あって、何が何がなんだかわからないので、とりあえず、ここで終了です。


 
 
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