コップ座の神話。

コップ座、からす座は、うみへび座の上にある星座で、三つワンセットで考えられていた、メソポタミアの時代からあった古い星座だそうです。

コップ座は、余りめだたない星座で、コップというより、ギリシャでお酒等を混ぜるのに使う、両耳と台のついた鉢、クラーテルで、この鉢の持ち主はアポロン、バッコス、ヘラクレス、またメディアが薬草を混ぜた鉢ともされています。

メディアはコルキス王アイエーテスとイデュイアとの娘で、太陽神ヘリオス(アポロンではなく、曙の女神エーオース、月神セレーネーの兄弟、ローマ神話ではソールで、太陽の擬人化された神です。ギリシャには太陽信仰が無く、東方から入って来たそうです。ロードス島の主神。)の孫、キルケーの姪にあたります。

後代の説ではヘカテーの娘でキルケーの姉妹ともされています。


コルキス王女メディアは、アルゴ探検隊が、コルキスに金羊毛を取りに来た時、その船に乗っていたイアソンに恋をしました。

イアソンは、コルキス王アイエーテスに金羊毛を取る事を願い出ましたが、アイエーテスは、「鼻から火を噴く青銅の蹄を持った牡牛二頭を繋ぎ、竜の牙を撒く事が出来れば」という条件を出しました。

イアソンが困っているのを見たメディアは、妻にしてもらう約束で魔法を使い、イアソンに火によっても刀によっても害を被る事のない薬を与えました。

イアソンはこの薬によって、牡牛を繋ぐ事に成功し、そして竜の牙から生まれた兵士を倒して退治しました。

しかし、アイエーテスは金羊毛を与えず、アルゴ船を焼き払い、イアソン達も殺そうとしたのです。

それを知ったメディアは夜、イアソンを連れ、皮の番をしていた竜を薬で眠らせ、金羊毛を手に入れ、夜陰にまぎれて船を出しました。

娘の裏切りを知ったアイエーテスは、追跡しましたが、果たせず、ついに逃げられてしまったのでした。

そののち、メディアはアルキノオスの宮殿で、イアソンと結婚式をあげ、イアソンの故郷イオールコスに帰りました。

めでたし、めでたし・・・と行かなかったわけですね、このお話。


イアソンの故郷イオールコスにはイアソンの年老いた父王アイソーンと、その王位を狙っている叔父のペリオースがいました。

アルゴ探検隊の物語は、父王アイソーンが叔父ペリアースにイオールコスの支配を奪われ、金羊毛と引き換えに支配権を返すという約束を果たすために冒険に出たものでした。

首尾よく金羊毛を手に入れたイアソンは、ペリアースに金羊毛を与え、領土を取り戻すと、メディアとともにイオールコスに暮らし、一子メーデイオスをもうけ静かに暮らしたとも言われています。

しかし一般的な話では、父王アイソーンがペリアースに自殺させられたため、その復讐に、ペリアースの娘達をだまし、ペリアースを切り刻んで煮殺させたとされています。


このくだり、メディアの話として伝わっているものは父王アイソーンは殺されていません。

メディアの魔術が深く関わっていて、生きていないと話にならないのです。


メディアはイアソンと父王がペリアースに苦しめられて来た事を知ると一計を案じました。

火竜の引く車で、九日九夜、遠い国を駆け、薬草を集めて来ると、それを鍋の中に入れ、フクロウの首と羽根、狼と羊のはらわた、鳥の首とくちばし、新月の海の砂などと一緒に煮ました。

そして、ペリアースの娘達の前で、年老いた父王アイソーンを切り刻み鍋の中で煮て、若返った元気な姿で蘇らせました(牡羊だともされています)。

ペリアースの娘達は、自分たちの父も若返らせて欲しいと、同じ事をしましたが、メディアは違う薬草を鍋に入れたため、娘達は父ペリアースを殺してしまうハメになったのでした。


メディアは復讐を遂げるのですが、この事により、ペリオースの息子アカストスに追われ、二人はコリントスに逃れたのです。


コリントスに逃れた二人は、メルメロスとペレースの二人の子に恵まれ、静かに暮らしていました。

しかしコリントス王クレオーンは二人を引き裂き、自分の娘グラウケー(あるいはクレウーサ)をイアソンの妻にしようとし、イアソンもこれに応じてメディアを離婚してしました。

メディアはイアソンとクレオーンの仕打ちに黙って従い、二人にお祝いとして見事な花嫁衣装を贈りました。

しかしその衣装には毒が塗り込められており、クラウケーがその衣装を着ると、火が出て、父王もろとも宮殿を炎に包み焼き殺したのです。

しかし、怒った民衆により、メディアの二人の子も石で打ち殺されてしまいました。<

何もかも失ったメディアは一人、有翼の戦車に乗り、アテナイへ飛び去りました。


そこでメディアは王アイゲウスの妻となり、メードスをもうけました。

アイゲウス王には、テーセウスと言う一人の息子がありましたが、まだ会った事がありませんでした。

アイゲウスには子が無く、デルポイに神託を求めましたが、その神託の意味がわからず、ピッテウスに相談に行きました。

ピッテウスは神託の意味を悟り、アイゲウスを酔わせ、娘アイトラーとともに寝かせました。

アイゲウスは岩の下にサンダルと刀を隠すと、アイトラーにもし男の子が生まれたら誰の子か言わずに育て、自らの力で岩の下のものを取る事が出きたら送り出すよう言いました。


アイトラーはテーセウスと言う男の子を産みました。テーセウスは立派に成長し、自分がアイゲウスの子と知ると、岩を押しのけ刀とサンダルを手に入れ、父の元へ旅立ちました。


メディアは自分の子以外にアイゲウスに子がいると知ると、まだ自らの子に会った事がないアイゲウスに、テーセウスは何か陰謀を企てているから注意するよう説き伏せました。

アイゲウスはテーセウスを恐れ、マラトーンの牡牛と呼ばれる、猛牛を退治するよう命じました。

しかしテーセウスがやすやすとこれを倒して帰って来ると、メディアはテーセウスを毒殺しようと、宴をひらいて招き入れました。

そしてテーセウスに毒の入った杯が渡すのですが、アイゲウス王はテーセウスの持っている刀が我が子に贈ったものと知ると、その杯を叩き落とし、我が子を守ったのでした。

メディアはこれにより、アイゲウス王から国を追われ、我が子メードスを連れてアジアへと逃げ帰ったのでした、

その後、メードスはメディア人の祖となり、またメディアは不死となって、アキレウスと共にエリュシオンの野に住んでいるとされています。

コップ座は、このメディアが魔法の薬草を混ぜた鉢が空にあげられたもとされています。


メディアは強い力を持つ魔法使いとされ、どちらかと言うと恐ろしい女というイメージがあるのですが、かわいそうな運命にあったとも言えます。

好きな人を守って家族を裏切り、家族を守ろうと親族を殺し、夫に裏切られ子を失い、自分の子を守ろうと居場所を失った、ある意味強い力を持ちすぎた不器用な女だったとも言えます。

普段は病気を治したり、怪我を治したり、そんな女の人だったんじゃないかな。

    「コップ座の神話-メディアの杯」


 
 
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