乙女座の神話-デメテルとペルセフォネー。

ギリシャ神話では麦の穂を持つ乙女を、穀物と大地の女神デメテルと、その娘コレー・ペルセフォネーともしています。

デメテルはクロノスとレアーの娘で、コレーはデメテルとゼウスの娘とされています。

もともとは二人揃って二柱の神として、ギリシャ各地でまつられていた女神で、デメテルは大地と豊穣の女神として、コレーは穀物の種として位置づけられていました。

毎年、初秋の頃、つまり、乙女座に太陽がある頃、エレウシスの秘儀として、女性だけのお祭りが行われており、二人の女神はこの祭神でした。


デメテルとペルセフォネー。

デメテルはシチリア島のエンナ(Enna)という谷、またはニューサ(Nysa)という所に住んでいました。

そこは断崖絶壁に囲まれた、誰一人、動物ですら訪れる事の出来ない所でしたが、四季を通じて緑の草木が生い茂り、花々は咲き乱れ、木の実があふれるように実り、あちこちに光るような泉が湧き出ていました。

この世の植物、穀物、果実、大地から出るものすべては、デメテルの恵みによりより栄え、地上に遊ぶ子羊や幼子も女神のやさしいまなざしが届き、デメテルは、すべてのものから「地の母」と呼ばれました。


ある日、デメテルの一人娘コレーは、ニンフたちと一緒に牧場で花を摘んでいました。

神は金色に輝き、ほほは林檎のように赤い、愛らしい娘でした。

カゴの中には、ヒヤシンスや百合、スミレ、水仙、デイジーや、クロッカスがたくさん入っていました。

コレーは花を摘み続けているうち、見た事も無い花がある事に気がつきました。

その花は百合に似ていましたが、とても大きく、そしてたくさんの花をつけ、その甘い香りはあたりに満ちていました。

コレーはうれしくて、ニンフたちを呼びましたが、いつの間にはぐれたのか、あたりには誰も見えず、空に日の神ヘリオスが輝いているだけでした。


コレーは仕方なく一人でその花を抜いて持って帰ろうと、茎をもってひっぱりました。

何度も引っ張るうち、土が緩んで来ました。

あともう少しと、その花を引っ張ろうとした時、土が大きな口を開け、中から四匹の馬にひかれた金色の馬車が飛び出してきました。


その馬車には王冠をかぶった陰気な顔の王が一人乗っていました。

その王は、ぬっと腕を伸ばすとコレーを掴み、そのまま抱きかかえて馬車に乗せてしまいました。

コレーは驚いて大きな声をあげて母を呼びましたが、馬車はそのまま風を巻き上げて飛び去っていきました。


デメテルは遠い土地の穀物の実りを見回りにいっていましたが、娘の悲鳴を聞き、あわてて帰ってきました。

しかし、そこにはコレーの花カゴと、散らばった花があるだけでした。

デメテルは狂ったように娘をさがし、ニンフたちにコレーを見なかったか?どこにいったのか?聞き回りました。

そして誰も知らないと知ると、山々を、谷々をさまよい歩き、夜になると松明を灯して、探しまわりました。

九日九夜、コレーを探しまわったデメテルは、ふと思いつき、太陽神ヘリオスの神殿に行って、娘を見なかったか?尋ねました。

ヘリオスはデメテルに、コレーが冥府の王ハデスに連れ去られた事、そしてそれにはゼウスの手助けがあった事を告げました。


デメテルは憤怒し、天界を捨て、その身を老婆の姿に変えるとエレウシスにやって来ました。

そしてカリコロン(Kallichoron=美しき舞)の井戸の側のアゲラストス(Agelastos=笑いなき)の石に座りました。

それから、エレウシス王ケレオスの所に赴き、その家で一番下の子、デーモポーンの乳母となりました。

デメテルはデーメポーンを不死にするため、毎夜、赤ん坊を火の中に置き、死すべき部分を焼き尽くそうとしました。

しかし、不信に思ったケレオスに見つかってしまい、赤ん坊は火に焼かれてしんでしまいました。

仕方なしにデメテルはケレオス達の目の前に女神の姿をあらわしました。


デメテルはケレウスをエレウシスでの自分の最初の神官とし、娘達を女神官としました。

そして長男トリプトレモスに麦の栽培を人類に教える役目を与えました。


その頃、女神が消え天に帰らないため、春が来ても草木は芽吹かず、穀物はのびず、花は咲かず、果物は実らず、大地は実る事をやめ、地上は四季を通じて冬のように枯れ果ててしまい、人々はやせ細り、大変困ったのです。

ゼウスは困り果て、神々をデメテルのもとに赴かせ、説得させましたが、デメテルは聞き入れませんでした。

ゼウスはハデスに妃となりペルセフォネーとなったコレーを母デメテルのもとに帰らせるよう命じました。

そして冥府へ、ペルセフォネーを迎えにヘルメスを迎えにやりました。

ペルセフォネーはハデスに母の所へ帰りたいと願いました。

ハデスは妃の願いを聞き届けましたが、ヘルメスの馬車にペルセフォネーが乗る時、庭の柘榴の実をもいで渡しました。

ペルセフォネーは何気なくその実を四粒食べてしまったのです。


地上に運ばれたペルセフォネーを見て、デメテルも地上へ現れました。

その瞬間、冬のように枯れた大地はよみがえり、再び元のような緑の大地となったのです。

しかし、冥府の柘榴を食べたため、一年のうち四ヶ月を冥府で暮らさなければなりませんでした。

これが冬で、母とともに暮らす八ヶ月が春夏秋となったのでした。

    デメテルとペルセフォネー。


 
 
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